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平成17年12月14日

妊婦の体重増加の目安

先月書いた「低体重児」のリスクを低下させる話題です。(11月5日 朝日新聞より抜粋)

厚生省によると、体重が2500g未満で生まれる低体重児の全体に占める割合が、03年には9.1%に増えた。厚生労働省の研究会は「低体重児」が呼吸や消化機能が未熟な場合があり、また、胎児期の栄養不良が成人後の生活習慣病を起こすという報告もあるので、妊婦に正しい体重管理を知ってもらおうと3月から研究してきた。
医師や管理栄養士らでつくる研究会は、妊婦の妊娠前の体格と「低体重児」や「帝王切開」などの出産リスクとの関連を01年〜03年の1780例について調べた。
その結果、体格指数 BMI が18.5未満の「やせ」の女性では、妊娠後の体重増加が9〜12kgの場合の人の方が、それ以下しか増えなかった人よりも「低体重児」を出産するリスクが低く、同じように「ふつう」( BMI 18.5以上25.0未満)の女性は7〜12kgの人の方がリスクが低かった。「肥満」( BMI 25.0以上)では関連が確認できなかったため、健康な胎児と胎盤、羊水を合わせた重さの約5kgを目安にした。
妊娠中期(16週から)以降の週単位みると、「やせ」「ふつう」とも0.3〜0.5kgずつ増えることが望ましいとしている。「肥満」の人は糖尿病など他の病気との関連もあって「個別対応」とした。

妊婦の望ましい体重増加量(厚労相研究会のまとめ)

体型 妊娠全期を通して 妊娠中期(16週)からの1週間当たり
やせ( BMI 18.5未満) 9〜12kg 0.3〜0.5kg
ふつう(18.5〜25.0未満) 7〜12kg 0.3〜0.5kg
肥満(25.0以上) 少なくとも5kg 個別対応

※ BMI =体重(キログラム)÷{身長(メートル)×身長(メートル)}
例)体重54キロで身長が158センチの場合… BMI =54÷(1.58×1.58)=21.6 となります。

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平成17年11月15日

妊婦のダイエットで、子供の生活習慣病のリスクが高くなる危険!

以前このページで「妊娠中の過度のダイエットにより、子供が成長期に肥満になりやすい」というニュースを取り上げましたが(6月8日)、今回は行き過ぎたダイエットなどにより赤ちゃんの体重が足りなくなってしまう「低体重児」の問題です。(10月20日 毎日新聞より抜粋)

東大大学院の福岡秀興助教授(発達医科学)によると、生まれたばかりの赤ちゃんの平均体重は、1980年には3194グラムだったが年々減り続け、03年には2982グラムになり、その間に2500グラム未満の「低出生体重児」は、全体の5%から9%(ほぼ10人に1人)の割合にまで増えた。
福岡助教授は「小さく生まれた子供は、高血圧や糖尿病、動脈硬化、高脂血症など生活習慣病になるリスクが高いことが分かってきた」と話す。
生まれたときの体重が軽いということは、胎内での栄養状態が悪く、十分に発育できなかったことを意味し、それが将来の糖尿病や動脈硬化などの原因の一つになるという仮説を、英サウサンプトン大学のデイビッド・バーカー教授(環境疫学)が「出生児の体重と成人してからの冠動脈疾患による死亡例のデータをもとに」20年以上前に唱えました。
その後、米国やノルウェー、フィンランドでも同様の研究結果が報告され、発症メカニズムが動物実験で明らかにされつつあります。
金沢医科大の三浦克之助教授らは、65〜74年に生まれた男女4626人について、乳幼児期と20歳時の健診データを追跡調査しました。その結果、生まれたときの体重が400グラム軽くなるにつれて、20歳時の最高血圧が男性で1.6ミリHg、女性で1.0ミリHgずつ高くなることが分かり、出生時の体重が軽いほど血中コレステロール値が高い傾向も見られた。
三浦さんは「胎児期に栄養状態が悪いと腎臓の機能が十分に発達せず、塩分の負荷にうまく対応できなくなるのではないか」と推定する。「高血圧には塩分の取り過ぎなども関係しており、胎児期の栄養だけが原因ではない。しかし、出生児の1割が2500グラム未満という現状は憂慮すべき事態だ」と語る。

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平成17年10月4日

妊婦や妊娠希望の女性は糖尿病に注意

いまや糖尿病は予備軍を入れると10人に1人、中高年では4〜5人に1人と言われ大きな問題になっています。
食生活の欧米化などで妊婦の間でも糖尿病が増加して、2002年までの7年間に、全国で少なくとも219人の赤ちゃんが先天異常になったり出生直後に死亡したりしたことが、日本糖尿病・妊娠学会の全国調査で分かりました。
赤ちゃんへの影響を調べた大規模調査は初めてで、2003年春、日本産科婦人科学会の専門医研修施設を対象に実施され231施設(回答率28%)から、7年間に出産した約74万人の情報が寄せられました。
妊娠中は血糖値が高くなりやすく、これらも含む糖尿病の症状を有する5232人のうち、赤ちゃんでデータがそろっている3973人を対称にしたところ195人(4.9%)に心臓などの先天異常がありました。厚労省研究班の同時期の子供の発生率が報告書で1.4%であるのと比較すると3倍以上でした。生後4週未満で死亡した子も24人(0.6%)おり、人口動態統計の新生児死亡率(0.2%)より高率でした。
妊婦や妊娠希望の女性はできるだけ早い時期に検査を受けておいた方がよさそうです。
「特に太り気味の人や、親が糖尿病の人」は、妊娠前に血糖値検査を必ず受けた方が良いとのことです。

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平成17年8月20日

葉酸はアルツハイマー病を予防する

Baltimore Longitudinal Study of Aging に参加した60歳以上の痴呆を認めない高齢者579人について追跡調査した結果、推奨量(400μg/日)以上の葉酸を摂取している高齢者はアルツハイマー病に55%なりにくいという結果となりました。

これは、カルフォルニア大学アービン校の Maria Corrada 医師らがアメリカ・アルツハイマー病協会の季刊雑誌 (Alzheimer's & Dementia: The Journal of the Alzheimer's Association) に報告したものです。

この研究は、ビタミンE,CとカロチンおよびビタミンBグループ(葉酸、B6、B12)の全摂取量とアルツハイマー病発病の危険性の関係を調べたもので、60歳以上の男女で痴呆を認めない579人について14年間(平均9.3年間)追跡し調査したところ、57人がアルツハイマー病を発病しました。

ビタミンの摂取とアルツハイマー病の発病との関係をみたところ、葉酸、ビタミンE,ビタミンB6を多くとるほどアルツハイマー病の発病が少なくなり、特に葉酸が有意に発病を下げました。ビタミンB1,B12およびカロチンではこの関係は認めませんでした。
葉酸は、アルツハイマー病の原因となるベータアミロイドの蓄積を防ぎ、神経細胞に毒性があると言われるホモシステインを低下させる作用があり、葉もの野菜、アスパラガス、ブロッコリー、レバー、豆類ななどに含まれています。

ただし、推奨量の10倍(4000µg)を摂り続けると乳癌の確率が高くなる(*1)という報告もあるので、極端に多く摂取するのは控えたほうが良いでしょう。

*1 英国アバディーン大学の Andy R. Ness 博士他
   英国医師会雑誌 (British Medical Journal, Dec.11.)

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平成17年7月12日

人間を親しくさせるホルモン

オキシトシンは視床下部で合成される下垂体ホルモンの一種で、出産時に子宮の収縮を起こさせたり、新たに母親になった女性に対し乳腺の周囲を収縮させ母乳が出るようにする働きがあるホルモンです。

2003年 Paul Zak らにより、オキシトシンのレベルが高い人は「気前がよく」「人を信用しやすい」という実験結果が発表されたが、今回チューリッヒ大学の研究チームが、オキシトシンが他人との感情の絆の基本である『信頼感』にどのくらい関係しているのかを調べ、2005年6月2日付の Nature に発表した。

研究チームは58人の男子学生を2つのグループに分け、一方には「オキシトシン」もう一方には「偽薬(プラシーボ)」を鼻に噴霧し、受託人(他人)にお金を預ける投資家ゲームを行い、受託人を信頼してどのくらいお金を預けるかを比較した。 この結果、オキシトシンの鼻スプレーをかがされたグループの45%が最高額のお金を投資し、最高の信用度を見せた。また最少額を投資したのは21%だった。これに対し、偽薬をかがされたグループは45%が最少額を投資し、最高額を投資したのは21%と正反対の結果になった。

別の実験で、オキシトシンが投機欲を高めるものではなく、人間への信頼感を高めるものである事を確認するため、受託人を人ではなくコンピューターに置き換えて実験したところ、オキシトシングループも偽薬グループも投資額に差は無かった。

研究グループはこの実験結果が悪用される危険性も否定できないが、自閉症など他人への信用が減少した症状を改善するのに利用できると注目している。

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平成17年6月8日

妊娠中の過度のダイエットに警鐘

以前より妊娠中の過度のダイエットと低体重児の関係が問題にされていましたが、今回は妊娠中の過度のダイエットにより、子供が成長後に肥満になりやすいという報告です。

これは藤井信吾 京都大学教授(産婦人科)と由良茂夫助手らが8日米医学誌 Cell Metabolism に発表したもので、妊婦の栄養不足に対する警鐘となりそうです。

由良助手らは、妊娠後半期のマウスの栄養を30%減らしたところ、生まれたマウスの体重は通常に比べ17%少なかった。その後急速に発育し間もなく通常と同じところまで体重は増えたが、糖尿病に近い状態になった。
さらに成長期に入り高脂肪のエサを与えると肥満になり、食欲を抑えエネルギーを消費する働きのあるレプチンというホルモンを投与しても食べる量は減らずにエネルギーを体内にため込み、体重は正常なマウスより約15%多くなった。
これまでも妊娠中の過度なダイエットが問題になってきましたが、成長のため多くのエネルギーを胎児が必要とする時期に、母親のダイエットによりエネルギー不足になると、少ないエネルギーを効率よく体内に取り込み貯蔵する体質に胎児がなり、成長期の肥満に繋がるということです。
自分がやせても、その分子供が太っては仕方ありませんね。

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平成17年5月24日

牡蠣に性ホルモン分泌促進物質が確認された

古来より、牡蛎は性欲を増強する事がよく知られており、世界各地で愛用されている。今回、それは単に迷信ではなく、実際に牡蛎には性欲亢進効果があるという話題です。

これは、3月16日サンディエゴで開かれた米国化学会年次集会(American Chemical Society annual meeting)で、マイアミ Barry 大学 George Fisher 博士らが報告したもので、報告によると、『牡蛎には男性ホルモンであるテストステロン、或いは女性ホルモンであるエストロゲンなど性ホルモンの分泌を促進させる、D-アスパラギン酸およびN-メチル-D-アスパラギン酸がたくさん含まれていることを見出した。』というものです。

ハマグリ、アサリ、イシガイなどにもこの物質が含まれており、このような軟体動物由来の食物が、古来より性欲を促すという言い伝えの科学的根拠となるとしています。
ただD-アスパラギン酸などが体内に入って消化された後も、実際に性ホルモン分泌を促進する作用があるかどうか、更に性欲亢進に必要十分量のエストロゲン等が分泌されるのか、については更に詳しい研究が必要という事です。
しかし、牡蛎の効果についは、昔から世界中で言い伝えられているものですので、信憑性が高いのではないかと思われます。